天気病と気象痛とは?
その前に、「気圧」とは何かご存じですか?
例えば、天気予報などで「台風の気圧は〇〇hPa(ヘクトパスカル)」だとか、「高気圧に覆われて天気が良い」「低気圧が接近していて雨が続く」などと聞いたことはありますよね。
気圧というのは、空気による圧力のことです。
人間を含めて、あらゆる物体は常に全方位からの気圧の影響を受けています。
では、人間の体は何でつぶれないの?ということになると思いますが、それは受けている気圧と同じ力で体の内部から押し返して、気圧を打消し合っているからです。
気圧の影響がどのくらいあるのか実際に見るには、ポテトチップスを持って高い山に登山してみるとわかると思います。
高い山の上では気圧が下がり、外から押す力が弱まります。ポテトチップスは地上で袋詰めされているため、中から押し返す力は変わりませんので、ポテトチップスの袋は膨らむということになります。
人間の体も、知らぬうちにポテトチップスの袋と同じように日々の気圧の変化の影響を受けています。
しかし、人間の体は血液や細胞や骨、空洞などが複雑に存在しているため、単純に膨らむというわけではありません。
話を戻しますね、天気病・気象痛という言葉を近頃、耳にする機会が多いかと思いますが、これは、天候の変化に伴って体調や精神状態に影響を受け、溜まった不調が現れる現象を指します。
特に天気が急激に変わると、頭痛や関節痛、気分の落ち込みなどの症状が現れることがあります。このような症状を総称して「天気病」と呼びます。
そのメカニズムの根底には、「自律神経」と「普段から蓄積していた不調・疲労」があります。
天気病のメカニズム
気圧や温度の急激な変化が起こると、耳の奥にある「内耳」がその変化を察知し脳から自律神経を経由して、もともと身体に蓄積していた不調や疲労が顕著に現れる。
気象の影響を受け取りやすい内耳の特性はもちろんですが、普段から疲労が蓄積し、肩や首、腰がガチガチの方は要注意なのです。
毎日の疲労が蓄積していくと、自律神経の乱れにもつながり、自律神経の乱れがまた、身体のさまざまな部位の痛みや不調につながります。
疲れを溜めず、丁寧にケアすることが大切
「疲れてもきちんと休めていて、疲れを持ち越さない身体や習慣づくりができていれば問題ないのですが、日本人のライフスタイルだと、なかなかそうもいかないのが現実です。
睡眠時間が少ない、運動習慣が少ない、デジタル機器を使用している時間が長いなどが、気象病の増悪要因となります。
天気病・気象痛の原因について
①大気圧の変化: 気圧が急激に変動すると、体内の組織や関節に影響を与えます。特に、気圧が低下すると、体内の液体が膨張し、神経を圧迫して痛みを引き起こすことがあります、特に関節炎を患っている人や偏頭痛を持つ人は、この影響を強く受けやすいです。
②湿度と温度の変化: 湿度や気温が急激に変わると、自律神経が過剰に反応し、体温調節や血圧の調整がうまくいかなくなることがあります。その結果、頭痛やめまい、疲労感が増すことがあります。
高湿度は関節や筋肉に影響を与えやすく、特に関節炎を持つ人は湿度の変化に敏感です。湿度が高くなると、関節の周囲にある組織が膨張し、痛みが増すことがあります。
気温が急激に下がると、筋肉や関節が硬直しやすくなります。寒冷な環境は血流を減少させ、筋肉や関節の柔軟性を低下させるため、痛みが生じることがあります。
③ 季節の変わり目: 季節の変わり目には日照時間の変化も伴い、体内時計のリズムが乱れることがあります。これにより、睡眠の質が低下し、体調不良を引き起こすことがあります。
④ 精神的な要因: 天候の変化は心理的にも影響を与えることがあります。例えば、曇りや雨の日が続くと気分が落ち込みやすくなり、うつ症状が悪化することがあります。
要因は1つではなく、これらの要因が組み合わさることで、天気病の症状が現れることがあります。
天気病・気象痛の症状について
頭痛: 特に偏頭痛を持つ人は、気圧の変化に敏感で、気圧が下がると頭痛がひどくなることがあります。
関節痛: 関節炎を持つ人は、湿度や気圧の変動により関節の痛みが増すことがあります。
特に膝や腰などの関節が痛みやすいです。
筋肉痛: 気温の変化や湿度の影響で筋肉が硬直し、痛みを感じることがあります。
神経痛: 天候の変化により神経が刺激され、神経痛が悪化することがあります。
めまい: 自律神経が乱れると、平衡感覚が崩れ、めまいを感じることがあります。
気分の変動: 日照時間の短縮や曇り空が続くと、気分が落ち込みやすくなります。特に季節の変わり目にこの傾向が強まります。
疲労感: 気温や湿度の変化により、体が適応するために余分なエネルギーを使うことから、疲れやすくなることがあります。
まとめ
天気病・気象痛は多くの人が経験するものであり、その症状は多岐にわたります。気象の変化による体調や精神状態の変動を理解し、適切な対策を講じることが、健康維持にとって重要です。規則正しい生活や適度な運動、栄養バランスの良い食事、リラックス法の実践、環境の調整など、日常生活の中でできることを実践することで、天気病の影響を最小限に抑えることができます。自分の体と上手に付き合い、快適な生活を送るために、これらの対策をぜひ取り入れてみてください。
天気病(気象痛)を和らげるセルフケアの方法をいくつか紹介します。
- 規則正しい生活習慣を維持する
安定した睡眠: 毎日同じ時間に寝起きすることで、体内時計を整え、自律神経のバランスを保ちます。十分な睡眠をとることで、体調が安定しやすくなります。
バランスの取れた食事: 栄養バランスの取れた食事は、体の調子を整えるのに役立ちます。特に、ビタミンやミネラルを十分に摂取することが重要です。ビタミンDは、日照不足による影響を軽減する効果が期待できます。
- 適度な運動を取り入れる
有酸素運動: ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動は、血行を促進し、体温調節機能を高めます。週に数回、30分程度の運動を目安にすると良いでしょう。
ストレッチやヨガ: 筋肉や関節を柔らかく保つために、ストレッチやヨガを取り入れると効果的です。これらの運動は、リラックス効果もあり、気持ちを落ち着かせるのにも役立ちます。
- リラックス法の実践
深呼吸や瞑想: 深呼吸や瞑想は、自律神経を整える効果があります。毎日少しの時間を使って、深呼吸や瞑想を行う習慣をつけましょう。
アロマセラピー: 好みのアロマオイルを使ってリラックスすることも効果的です。ラベンダーやカモミールなどのアロマオイルは、リラックス効果があります。
- 環境の調整
室内環境の管理: 室内の温度や湿度を適切に保つことで、体にかかる負担を減らすことができます。加湿器や除湿器、エアコンを活用して、快適な室内環境を整えましょう。
日光を浴びる: 日光を浴びることで、ビタミンDの生成が促進され、気分が改善されることがあります。特に冬季や曇りの日が続く場合は、人工的な光を利用することも検討してください。
- 事前の対策
天気予報の活用: 天気予報を確認し、事前に対策を立てることが有効です。気圧が下がる予報が出たら、前もって痛み止めを用意したり、リラックス方法を試みたりすることができます。
天気日記をつける: 天候と体調の関係を記録することで、自分がどのような天候に敏感なのかを把握しやすくなります。これにより、適切な対策を講じることができるようになります。
- 精神的なケア
ストレス管理: ストレスは天気病の症状を悪化させることがあります。趣味やリラクゼーションを通じて、ストレスを管理することが大切です。
症状に慣れて、多少の頭痛や肩こりには耐えられるということを差し引いてもやはり年々症状がつらくなる場合は、疲労の蓄積がネックになっているといえるでしょう」。
天気を察知して事前に対処も!つらい痛みや不調を緩和する方法
それでは、気象病の症状はどう対処すればよいのでしょうか?
まず、痛みが出てしまった場合におすすめなのが以下の体操とストレッチです。
【耳まわし体操】と【タオルストレッチ】
1.両耳の耳たぶの上部を、水平方向に引っ張る。
耳が少しキーンとする様子を感じながら、5~10秒たったら離す。
耳まわりの緊張が解ければ、成功。
2.両耳の耳たぶの縁と顔の輪郭のはじまりが接する部分を、持ち上げるようにして30秒間、斜め上向きに押す。
1と2に加え、耳全体を上下に引っ張ったり、耳たぶの真ん中より上の痛みを感じる場所を何度か押すのもおすすめ。
また、イラスト①②で示したポイントを押して刺激するのもよいでしょう。
耳まわし体操を行ううちに、頭や顔まわりが軽く感じるようになるはずです。
この体操は、内耳を刺激し、自律神経を整えてくれるとともに特に硬く張りがちな、首や肩の筋肉をゆるめてくれます。
耳まわし体操にプラスして、痛みがどうしてもひどい時の緊急薬を持ち歩くのもよいでしょう。
痛み止めがあることで、気持ちも楽になるという場合もあるかと思います。
また、天気病のメリットは、天候変化の予知ができるということ!
それならば、違和感を感じた時点で対策をはじめましょう。
たとえば、耳まわし体操は症状が出てからも役に立ちますが身体に違和感を感じた時点で行うのもおすすめです。
また、夜間の気圧変化などを受けて、起床時に身体が重く感じる場合が多いかもしれません。そのような方は、時間の余裕をもって起きましょう。
目をさましたら起き上がる前に、耳まわし体操をして頭の周りに血液がまわったら、ゆっくりと起きるのも手です。
朝起き上がれず、ずっとベッドの中にいると余計に起き上がりづらくなることもあります。
余裕を持って起きましょう。
寝る前のスマートフォンは、百害あって一利なし!
また、眠る前のスマートフォンはNG。自律神経を刺激して睡眠の質を下げてしまいます。
最低でも6時間以上は寝て、朝はしっかり朝日を浴びられるようしておきましょう
近年では、気象病や慢性痛を感じる方の若年化進んでいます。
長時間のスマートフォンが、規則正しい生活を乱し、結果的に体調不良を引き起こしていることもあるそうです。
気象病は、予知ができるという部分で他の疾患よりもコントロールしやすい部分もあります。
気象病の特異なメリットを存分に意識して、症状の改善に努めていきましょう!