【発酵食品が体に与える効果とは?】
そもそも発酵とは「発酵」とは、微生物の働きによって物質が変化し、人間にとって有益に作用することをいいます。
発酵品とは、乳酸菌や酵母などの微生物の働きによって糖やタンパク質などを分解・発酵させた作られた食品のことです。
日本には古くから漬物、味噌、醤油、納豆、酒、キムチ、ヨーグルトなど、さまざまな発酵食品が存在し、食生活の重要な一部を担ってきました。
近年の研究により、発酵食品にはさまざまな健康効果があることが明らかになっています。このことから最近の健康ブームとの相乗効果で発酵食品専門店や飲食店なども増えてきています。
発酵食品の効果とは?
効果1:栄養をスムーズに吸収させる
発酵食品は、麹カビや酵母、細菌などの微生物の働きによって原料成分の栄養素が分解されています。そのため、消化吸収しやすい状態になっています。
しかも乳酸菌や麹菌、納豆菌、酵母菌、酢酸菌などの善玉菌が豊富に含まれているため、腸内環境が整い、栄養をスムーズに吸収して体内に巡らせることができるのです。
効果2:免疫細胞を活性化させる
乳酸菌や麹菌などの菌体は、体内の免疫細胞の約70%が集まる小腸壁の近くを通る際に、免疫細胞を活性化させる”指令ボタン”を押していくことが最近の研究で分かりました。中でも、味噌や納豆、甘酒、キムチなどが有効であるといわれています。
この免疫細胞を活性化させる”指令ボタン”を押すという働きは、生きた菌体も死んだ菌体も同じように持っています。
例えば、多くの乳酸菌を含む味噌。味噌汁を作る際に加熱をしたことで乳酸菌が死滅しても、免疫細胞を活性化させる作用は変わりません。つまり、どんな食べ方をしても発酵食品は免疫細胞を活性化させるのです。
また、腸自体が健康であることも免疫アップのカギ。腸内を常に善玉菌優位の環境に整えておくためにも、善玉菌が豊富に含まれている発酵食品を積極的にとるとよいでしょう。
発酵食品には、腸内環境を改善する働きがあるといわれています。発酵食品には、オリゴ糖や食物繊維などの栄養素が含まれています。オリゴ糖は、善玉菌のエサとなる栄養素です。食物繊維は、腸内環境を整える働きがあります。腸内環境が改善されることで、便秘や下痢などの消化器系のトラブルを予防する効果が期待できます。
効果3:栄養価アップ!
微生物が発酵過程で多量の栄養成分を生産してくれるため、食品の栄養価が高まります。例えば納豆に含まれるビタミンKはゆでた大豆の120倍にも!
効果4:旨味成分アップ!
煮た大豆と比べ、味噌や納豆には特有の味と香りが生まれます。また、発酵によりタンパク質が分解されて旨み成分のグルタミン酸ができるため、より「美味しい」と感じるのです。
効果5:保存性アップ!
食品を長期保存するためには「乾燥させる・塩漬けにする・燻製にする」などの方法がありますが、「発酵させる」のも保存性を高める一つの手段です。発酵を促す微生物が増えることで、腐敗菌を寄せつけないようにするのです。微生物の世界では、ある環境のなかに特定の微生物が一定数以上いる場合、ほかの微生物は繁殖することができません。
また、発酵によって生成される乳酸や酢酸、アルコール自体にも殺菌効果があるので、雑菌の増殖を抑え、食品のおいしさを保ってくれます。
効果6:生活習慣病の予防!
血圧や血糖値を改善する働きがあるといわれています。発酵食品には、血圧を下げる働きのあるナトリウムや、血糖値を下げる働きのある食物繊維などが含まれています。血圧や血糖値を改善することで、高血圧や糖尿病などの生活習慣病の予防に効果が期待できます。
大豆の発酵食品には、血管の壁に付着した悪玉コレステロールを除去する効果があり、高血圧の予防につながるといわれています。 また、酒粕にも血圧の上昇を抑える働きが認められており、生活習慣病の予防にも一役買ってくれることがわかっています。
効果7:がん予防
発酵食品には、がん予防に効果があるといわれています。発酵食品には、抗酸化作用のあるポリフェノールや、がん細胞の増殖を抑える働きのある乳酸菌などが含まれています。抗酸化作用によって、細胞の老化やDNAの損傷を防ぐことができます。乳酸菌によるがん細胞の増殖抑制効果については、今のところまだ研究段階ですが、期待されています。
発酵食品の摂取量の目安
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、発酵食品の摂取目標量として、1日に100g程度を推奨しています。 発酵食品には、さまざまな種類があります。 毎日の食生活の中で、納豆や漬物、味噌汁など、さまざまな発酵食品をバランスよく取り入れましょう。
発酵食品の選び方
発酵食品を選ぶ際には、以下の点に注意しましょう。
原材料にこだわる
発酵食品の原材料は、なるべく自然なものを選びましょう。
添加物に注意する
発酵食品の中には、保存料や着色料などの添加物が含まれているものもあります。添加物が気になる場合は、添加物不使用のものを選びましょう。
賞味期限に注意する
発酵食品は、賞味期限内に食べるようにしましょう。賞味期限を過ぎたものを食べると、食中毒の原因になることがあります。
発酵食品の保存方法
基本的には発酵食品は、冷蔵庫で保存しましょう。常温で保存すると、劣化が早まります。
発酵食品の活用法
発酵食品は、さまざまな料理に活用できます。例えば、納豆は、ご飯やパンにかけて食べたり、サラダや炒め物に加えたりすることができます。ヨーグルトは、そのまま食べたり、フルーツやグラノーラと合わせて食べたりすることができます。キムチは、ご飯や麺類にかけて食べたり、炒め物に加えたりすることができます。
発酵食品は、健康によい食品ですが、食べ過ぎには注意が必要です。発酵食品に含まれる塩分は、高血圧や心臓病などのリスクを高める可能性があります。1日あたりの塩分摂取量は、成人男性で8g、成人女性で7gを目安にしましょう。また、発酵食品は、製造過程でカビや細菌が繁殖する可能性があります。そのため、購入する際は、賞味期限や保存状態をよく確認しましょう。
まとめ
発酵食品を日々の食生活に取り入れることで、病気を予防強い体づくりなど、様々な良い効果が期待できます。どれか一つだけに偏った摂り方ではなくて、色々な発酵食品を長期的に摂取していくように心がけましょう。